社員が“自分から気づき、動く”組織をつくるには

*今回のお話は香川ファイブアローズの生岡直人ゼネラルマネージャーから学んだ内容です

~面談で大切にしたい「期待」と「会社からの貢献」という視点~

「うちの社員は、言われたことはきちんとやる。でも、自ら提案したり、周りを巻き込んだりする動きは少ない…」
そんな悩みを持つ経営者やマネージャーの声を、これまで何度も耳にしてきました。

社員が“自発的に動くようになる”には、どうすればよいのでしょうか?
そのヒントは、日々の面談の中にあります。

面談の場を、評価や指導のためではなく、信頼関係を育てる対話の場ととらえること。
そしてその対話の中で、「会社からの期待」と「会社から社員への貢献」の2つをしっかり伝えることが、社員の内側にある“主体性”の火を灯すカギとなるのです。

「期待」は信頼の表明

私たちは、期待されていると感じたとき、自然とやる気が湧いてきます。
それは、期待の裏に「あなたを信じている」「あなたならできる」というメッセージが込められているからです。

たとえば、こんな言葉をかけたことはあるでしょうか?

  • 「あなたの冷静な判断力が、チームに安心を与えている。だからこそ、今後はプロジェクトリーダーとしての役割をお願いしたい」
  • 「細部に気を配る力が強み。新人のフォロー役として、その力を活かしてくれると嬉しい」

こうした言葉は、社員にとって自分の存在価値を確認する機会になります。
「自分には、この会社の中で果たすべき役割があるんだ」
そう感じられた瞬間、人は“動き出す”のです。


「会社からの貢献」は、安心と信頼の源泉

多くの面談が「君はどう頑張るか」に終始しがちですが、もう一歩踏み込んで、**「会社はあなたにどう貢献していきたいか」**を伝えてみてください。

これは、単なる制度や福利厚生の話ではありません。
一人の“人”として、目の前の社員にどんな未来を用意したいか――その“想い”を言葉にするのです。

  • 「キャリアアップを望んでいるなら、外部講座の参加費は会社でサポートする」
  • 「子育てと両立しやすいよう、今後はリモート勤務の選択肢も拡げたいと思っている」
  • 「あなたの得意を伸ばせるポジションを一緒に考えていきたい」

こうしたメッセージが伝わると、社員は「この会社は自分の人生にも関心を持ってくれている」と感じます。
それが安心感につながり、長く働こうという気持ちや、自らの成長に向けた意欲にもつながっていきます。


“期待×貢献”の交差点に、社員の主体性が育つ

「会社があなたをどう見ていて、どんな未来を共に描いているか」
この2つが明確になったとき、社員は“自分の存在意義”を感じるようになります。

逆に、どんなに厳しく評価を伝えても、本人が「なぜそれを言われているのか」がわからなければ、行動は変わりません。

面談は、“改善を促す場”ではなく、“未来を語り合う場”として機能するとき、初めて力を発揮するのです。


最後に

社員が動かないとき、「最近の若い人は…」と嘆く前に、自分自身にこう問いかけてみてください。

「私はこの人に、何を期待し、どんな未来を共に描こうとしているのか?」
「この人が会社で輝けるように、どんな環境や支援を届けられているか?」

答えを見つけることができたら、次の面談でその想いをぜひ伝えてください。

きっと、社員の目が少しだけ変わるはずです。
それが“自ら動く組織”への第一歩となります。