事業を始める前に、“これだけは”決めておこう

「やりたいことは決まってる。でも、何から始めたらいいかわからない」
そんな声を、これまで何度も聞いてきました。

創業の初期は、アイデアがどんどん湧く一方で、足元がふわつきやすい時期でもあります。
勢いは大切。でも、走り出す前に少し立ち止まって、「これだけは決めておこう」という3つの視点を持つことで、グッと事業が前に進みやすくなります。


1. 誰に価値を届けたいのか?

ビジネスの原点は、「誰かのお困りごとを解決すること」。
つまり、あなたがこれから始めようとしている事業は、『誰かの助けになること』であり、その「誰か」が明確になるほど、提供する価値もはっきりしてきます。

最初から「誰にでも売れる」商品やサービスを作ろうとすると、結果的に“誰にも響かない”ものになりがちです。

まずは、たった一人の「届けたい人」を思い浮かべてみてください。

  • その人はどんな悩みを抱えているのか?
  • 日常でどんな言葉を使っているか?(←この言葉が一番ターゲットに響く)
  • どんな時に「ありがとう」と言ってくれるのか?

その人の顔が浮かぶくらい具体的になると、自然とやるべきことも、伝えるべき言葉も見えてきます。


2. なぜこの事業をやるのか?

あなたがその仕事をやる「理由」や「想い」が明確になっているかどうか。
これは、長く続ける上でも、途中でぶれそうになった時にも、大きな支えになります。

  • どうして今このタイミングで?
  • 自分の経験とどうつながっている?
  • この事業を通じて、どんな未来をつくりたい?

自分の中にある「想いの根っこ」を言葉にしておくと、他人の目や一時の流行に振り回されにくくなります。


3. お金の流れをざっくり描いてみよう

創業段階で、売上もまだ立っていないのに資金計画なんて…と感じる方も多いですが、「ざっくり」でいいんです。

脱・完璧主義でいきましょう。

  • 月にどれくらい売上があれば生活できる?
  • 固定でかかる経費はどのくらい?
  • 資金が足りなくなりそうなタイミングは?

数字にすることで、アイデアに“実感”が宿ります。
夢や理想だけでなく、現実の足元をしっかり見ておくことが、継続のカギになります。

この時に、『お金のブロックパズル』を使うと数字が苦手な方でも、掴みやすいです。


🔄 このプロセスは「1回きり」じゃない

ここまでの3つの問いは、一度きりではなく、繰り返すことが大切です。

やってみて、考えて、また見直す。
その繰り返しの中で、事業のカタチはどんどん磨かれていきます。

そして、もっと大事なのは「人に話してみること」。
頭の中だけで考えていると、独りよがりになってしまうことも。

声に出して話すことで、自分でも気づいていなかった“矛盾”や“ズレ”が見えてくるものです。


否定との向き合い方

この時、気をつけたいのが「否定の声の扱い方」です。

厳しいことを言ってくれる人の中には、本気で応援しているからこそ、あえて耳の痛いことを伝えてくれる人もいます。
そういう存在は、とてもありがたいものです。

ただし注意したいのは、実際にやったことがない人がする否定的な言葉
経験がないがゆえに、可能性を見ようとせず、「やめておいた方がいい」と言いたくなる人もいます。

あなたの挑戦を、最初から否定する人の声ばかりを聞きすぎると、前に進めなくなってしまいます。


一緒に考えてくれる人がいる安心感

だからこそ大切なのは、「どうしたらできるか?」を一緒に考えてくれる人の存在です。
たった一人でもいい、前向きな視点を持ってサポートしてくれる人がそばにいると、本当に心強い。

事業は一人で始めるかもしれませんが、一人きりで考え込んで、独りよがりなビジネスにならないように。

誰かの役に立ちたいと願うなら、まずはその“誰か”と対話をしながら事業を育てていきましょう。


まとめ:紙1枚から、話しながら、育てていこう

A4の紙1枚に、ざっくりと「誰に・なぜ・どうやって」を書き出してみましょう。
そして、信頼できる誰かに話してみてください。

その対話の中に、きっと気づきがあります。

そして願わくば──
独りよがりのビジネスではなく、「誰かの役に立つビジネス」へ。

一緒にそんな事業を育てていきましょう。