「ちゃんと言えない」社長たちへ

〜“ナイス”であるために、“クール”であれ〜

ある製造業の経営者さんとの面談で、こんな一言がありました。

「本当は“もっと早くやってほしい”って言いたいんですけど…嫌われたくなくて」

この気持ち、すごく分かります。
一緒に頑張ってくれている社員に対して、厳しいことは言いづらい。
「雰囲気を壊したくない」「辞められたら困る」
…そんな想いが、言葉を飲み込ませるのかもしれません。

でも、ここで問い直してみたいのです。


それは「相手に優しい」のか?それとも「自分に優しい」のか?

言うべきことを言わずに「まぁまぁ」で済ませる。
その場は平和に見えても、実は問題が先送りされていることが多く、
本当に困るのは“後からやってくる未来の社員”です。

表面的な優しさは、時に組織を弱くします。
森岡毅さんもこう語っています。

「本当に優しいリーダーになるためには、時に冷たく振る舞う勇気が必要だ」


リーダーシップに必要な「真の優しさ」とは

森岡さんは、リーダーに必要なこととして、次のように述べています。

  • 目的を明確にする
  • その目的が、頑張るに値する魅力的な未来であることを示す

これは「ビジョン」と「納得感」をセットで語るということ。
ただ叱るのではなく、なぜその行動が必要か、どんな未来につながるのかを伝える。
つまり、「共に進むために伝える」というスタンスです。

そして印象的だった言葉がこちら。

“To be nice, be cool.”(ナイスであるために、クールであれ)

優しくありたいのなら、時には冷静に、厳しい判断も伝える覚悟が必要なのです。


じゃあ、どう伝えればいいのか?

経営者が「ちゃんと伝える」ためには、工夫も必要です。
以下のようなステップが効果的です。

1. 背景と目的を伝える

「納期を守ることでお客様からの信頼につながる。だからスピードを上げてほしい」
“お願い”ではなく“意味”を伝えることが大事。

2. 期待を込めて話す

「できてない」ではなく「あなたならできると思ってるからこそ、お願いしたい」という視点。

3. 対話を促す

「どうすればやりやすくなると思う?」と聞くことで、納得感をつくる。


「伝えること」は、愛のあるリーダーシップ

言うべきことをきちんと伝えることは、
相手の可能性を信じている証でもあります。

嫌われたくなくて何も言わないリーダーよりも、
時に厳しいことを言ってくれるリーダーのほうが、
結果的に社員からの信頼を得ていくものです。


最後に問いかけです。

あなたは今、
「言えずにいること」を誰に抱えていますか?

“ナイス”でありたいからこそ、クールに伝える勇気を持ちましょう。
その一歩が、チームの未来を変えていきます。